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最初にお断りしておきたい。本コラムを読んでも英語はまったく上達しない。「そういっておいて…」という逆説をねらったものではない。それどころか逆に、英語なんか勉強しなくていい、しゃべれなくていい、ということを主張しているのである。

もしあなたが仕事上か生活上か、必要に迫られて真剣に英語を勉強しようと思っている人、申し訳ないが本コラムはまったく無益である。試験や受験のある中・高・大学の学生さんなら、申し訳ないが英語学習は無用である。

さて、こういう人に対する本コラムの答えは簡単明瞭である。そう、あなたに英語なんかまったく必要ではない、だから悪いことはいわない、英語なんかおやめなさい。繰り返し言うまでもないが、受験勉強中の学生さんや、仕事で英語が不可欠な人は、この限りではない。

日本はLCCなどの参入で、全国民海外旅行時代に入って久しい。海外に行って、ちょっとだけ英語やスペイン語をしゃべってみたいという欲求はあろう。だがそれが「あら、通じた通じた、アハハ」というだけのことなら、海外の人間を小バカにした話である。品を出すどころか、バカを丸出しにしてどうするのだ？

家にさまざまな種類の英語本や学習書が何冊もある人、スピードラーニングなどリスニング教材をやっている人、もう無駄、やめたほうがまし。あなたに足りないのは一にも二にも地道な努力。自分なりに努力したのかもしれないが、本音は一冊の本を読んだら、英語を聴いていたら、めざましく会話力が上達するのではないか、という甘い期待。

倒産したNCB英会話教習所やリンガフォンのように街頭で何十万もするグループレッスンの英会話スクールのチケットや英会話教材を契約してしまった人。もう、その付け入られる態度がだめ。たとえ英語が話せるようになっても、自分の意見がいえずに、「オー、イエース！」と笑ってばかりで、容赦のない外国人にやりこめられるだけ。

ついでにいっておくと、読んだだけで上達する英語本やリスニング教材などこの世には絶対に存在しない。読んだだけで泳げるようになる水泳教本、うまく滑れるようになるスキー教本がないのと同様である。英語がしゃべれるようになるには、勉強に勉強を重ねて、実際に聴き、読み、話さなければならないのは当たり前のこと。

あなた、ほんとうに英語が必要ですか。もういい加減あきらめよう、英語なんか。無用。
ネイティブみたいに話せたらいいなって？無理。
もう多額の金を英会話につぎこむのはやめましょう。無駄。
もう年端もいかない子どもに英語を押し付けるのはやめよう。無責任。
もうやめよう、英語ができるのを羨んだり得意げになったりするのは。無意味。

これを読んで、他人のことだと思ってあっさりといってくれるが、そうはいくかい、と言う人がいるだろうと思う。お気持ちは察し申しあげる。たとえ腐れ縁の相手でも別れとなるとつらいものだから。

もちろん英語を勉強するのは「過ち」でもなんでもない。けれど、真に無用なものに自分のアイデンティティをかけつづけるのは「性格が悪い」というものだ。

本コラムを読んで、英語に対する葛藤や強迫観念に悩まされてきたあなたの日常生活が少しでも解放されて、健やかなものになりますように。