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英語にたぶらかされたという意味では、歌謡界が一番みじめに見える。小室哲哉が作った曲など最悪で、「キャンユ―セレブレイト」「ネバーエンド」などとか歌っている。

沖縄サミットに参加した各国首脳たちの前で安室奈美恵がその「ネバーエンド」を歌ったが、いい度胸なのだが、だからといって小室が英語に堪能かというと、とてもそんな感じ「ホールド・ミー・タイト」で、「ィール・ソー．グッド？」はバカにしか見えない。

「ロック界の自称大御所」内田裕也がテレビで、「ロックンロール」などといってたが、なんだその締めの「ロックンロール」ってのは。自分で考案したのではないのである歌詞の一部に英語を使う、というのはいまやふつうの事態である。中島みゆきまでがやっているのは残念だ。

それにしても、「アイキャントストップザロンリネス」とか「ろまんひこうでインザスカイ」とか、「ホーミタイ泣いたっていいんじゃない」とか、無茶苦茶だろう。同じ英語を使うにしても桑田佳祐だけは「ダーリンビーウイズミヒヒヒヒ、レッツゲートビソオーファイン」などと、馬鹿のひとつ覚えの「ホーミタイ」とは少し違ってやや本格風ではあるが、だからといって格段、聴く者にとってはうれしいことでもなんでもない。

歌を歌えば「ホールド・ミー・タイト」、「アイ・ニード・ユー」。なにがフ「ィール・ソー・グッド」だ。「アイ・ミス・ユー」なんてのもあるな。日本語で「君がいなくてさびしいよ」なんか恥ずかしくて言えないくせして。合いの手で、わけもわからず「カモン・ベイビー」とか、なかには「アイラブユー・ベイベー」などというやつがいやがって。「ベイビー」よりも「ベイベー」といったほうが、本格的だとでもいうのか。

相変わらずバカでおもしろかったが、内田裕也も安岡力也も和田アキ子も英語は全然デタラメだった。ただそれ風に歌っているだけで、それでロックだブルースだ、とされている。好きになるのは勝手だが、和田アキ子がレイ・チャールズが好き、なんてのも、素直に聞きたくない言葉である。

プロの歌手のくせに、どうせ日本人にはわかりはしないだろうと、英語をなめているのか。しかもどういうつもりか、かれらは日本語を外国語的に発音する。そのかれらが新人に対じて、歌をなめんじゃないよなどというが、かれら自身が歌をなめているとしか思えない。

素人もプロもありやしない。J-POPなんてものは、もつともへラヘラした日本文化でしかない。エロかわいい、とかいつてりゃ世話ない。

スキマスイッチとかオレンジレンジってなんのことだ。ARASHIならまあいいが、KAT-TUNってなんだ。AKB48も意味がわからん。日本は表面だけの多様性を容認する国である。おかげで世界一うまい西洋料理と中華料理が食べられる。もちろん料理の分野ではレベルの高さを競いあっているから、それだけの水準が保たれている。

けれど、あらゆる業界の中で最も幼稚な業界、それが日本の歌謡界なのだろう。小柳ゆきや宇多田ヒカルが出てくると、すぐに国際的に通用すると大騒ぎになる。あちらでCDでも発売されようものなら、それだけでもう「世界デビュー」「世界が注目」と大騒ぎだが、当のアメリカ人は名前さえ知らないのが現実だ。

かつて矢沢永吉もアメリカ進出を企て、半年ほどアメリカでがんばってみたが、鳴かず飛ばずだった。歌手といえばいいところを、最近はミュージシャンというのである。なかにはアーティス卜などと呼ばれたい者までいる。