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さて、いくらかは英語の呪縛から解放されて気分が楽になったでしょうか。もちろん世の中や人間の関心は、要不要だけでと分かれるものではない。実用的でないものはすべて不要だ、とわたしはいっているのではない。趣味は英語（語学）、というのはへんな趣味だとは思うが、ほんとうに英語が好きで、それによって生活にハリがでるようなら、他人がとやかくいうべき問題ではまったくない。

申し上げたいことは、決して責任をとらない世間や商売人が煽り立てる英語熱に浮かされて騙されないように、また自分をも騙さないように、ということだけである。

わたしはついに、外国人と自由闊達な会話を楽しむという境地に達することなく終わることになる。洋画など、字幕なしではその１割も理解することができないままである。それだけのことしかやってこなかったから、それはそれでいいのである。

さまざまな目的を抱懐される読者においては、それぞれのレベルに応じて、豊かで自由な英語力を習得されんことをお祈り申しあげる。「よくよく考えてみたら、わたしに英語はまったく必要なかったな」と理解された読者は、即刻テキストを古新聞の山に突っ込むか、英会話スクールやスピードラーニングなどのリスニング教材の解約に向かわれんことを。

ご心配なく。必要になったら、あるいはまたどうしてもやりたくなったら、性根を入れて再開すればよいだけのことである。英語に足はついていないから、けっしてあなたから逃げてはいかない。

2015年1月
本コラムは、小さな物事を自分の頭で基本的に考えるための本、といってもいい。
1970年、大阪市生まれ。日本文化の執筆活動を行なう一方で、世の中の「バカ」事情にも精通しているコラミニスト。元大手英会話スクール勤務経験があり、出版事業部に所属していた。