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差別のことはいろいろと書きましたが、ラミス氏の言葉を借りて思い出しておきましょう。ラミス氏は、日本人の英語ネイティブ白人への追従に辟易した経験を語っています。

「私が日本語を勉強していた大学には、ESS（英語同好会）があり、そのメンバーがあまりにも追従的な態度で私に近よってきたのに、私は辟易した。私はある人びとから、自分達の一生の夢が英会話に精通することであり、行きたいところはロス・アンジェルスであり、一番好きな小説家はホーソン、詩人はロングフェローである等々と聞かされて、信じがたい思いを味わったこことを覚えている。」

白人への追従は同時に、他人種の差別となって現れます。

「その追従的態度はある種の外国人にだけとっておかれる態度であることも、私はまもなく学んだ。1962年に私は京都に移り住んだ。そして京都大学ESSが外国人学生を後援しているのを知った。

私はその会合の一つに出かけていって、そこにいる外国人、そのほとんどは東南アジアからの外国人が、苦々しい怒りの状態にいるのに出くわした。

話によれば、ESSは外国人学生のためにキャンプ旅行を企て、そこでESSのメンバーはアメリカ人やヨーロッパ人に子犬のように(日本語でよくいうように、金魚のふんのように)つきまとい、東南アジアから来た人びとをあたかも目に入らないかの如く扱った。」

英語ネイティブ白人信仰は、英語業界と、英会話顧客と、そして当の英語ネイティブ白人が三位一体となって拡大再生産し続ける信仰であり、裏には強烈な差別意識が潜んでいると言えます。

ラミス氏の例は古いものだし、今にそのまま適さない部分はあるでしょうが、本質は今も変わっていません。あなたも大手英会話教室の顧客になり、差別的構造の継続・固定の片棒を担ぐのでしょうか。

2001年9月11日の同時多発テロ事件はたしかに痛ましい事件でした。実にアメリカは被害者でしたが、アメリカが世界でふるっている数々の軍事的暴力や非道に目をつぶるとしたら、それはあまりにバランスを欠くでしょう。

感覚的に目に見えて痛ましいものを嘆くのは簡単ですが、想像力と理性で一度冷静に考えてみなければならない。我々が自然に触れる情報として与えているものは、アメリカが都合よくきりとった事実にすぎないのではないかと思うのです。

軍事面以外でも、人種差別、経済格差、麻薬、アルコール中毒、銃社会、拝金主義など、いろいろな問題がありますが、ラミス氏の言葉を引いておきます。

「英会話の世界では、なぜ、多数のアメリカ人(たいていは有色人種)が苦々しい、希望のない貧困に打ちひしがれて生きているのか、なぜ、貧乏人の子供達は読み方も教えられないで高校を卒業するのか、誰も学びはしない。」

このようにアメリカのよい面ばかりを受容し、暗いところには目をつぶっているのが現状です。英語を喜んで学んでいても、一番大事なところに目をつむっていて何の価値があるのでしょう。