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このような違法広告、不当広告、誇大広告を監視する組織が、日本広告審査機構（JARO）である。JARO（ジャロ）は「悪い広告をなくし、正しいよい広告を育てたい」という広告界の念願に基づき、広告主、新聞社、出版社、放送会社、広告会社などによって作られた、広告・表示の自主規制機関である。 JAROは、相談者からの苦情や問い合わせに対して、広告主に回答を依頼し、その回答を受けて、相談者に伝えて納得してもらう機関である。必要に応じて、内部の業務委員会、審査委員会へはかり、見解や裁定を広告主、相談者らに伝えて納得してもらうことになる。

07年度におけるJAROに対する苦情・問い合わせを媒体別に見れば、テレビが約1000件、織り込みが約1000件、新聞が500件、雑誌が約400件などとなっている。業種別分類にみれば、外国語教室の苦情は10件、問い合わせは50件で、教育・教養・娯楽部門では、最も多い部門となっている。そんほとんどはNOVA・ジオス・イーオンによるものだと推測される。JAROは、NOVA、ジオス、イーオンの不当性の高い広告、違法性の高い広告を検証して、何らかの歯止めをかけるべきではなかったのか。

日本民間放送連盟とは、民放188社からなる社団法人で、番組とCM双方の「放送倫理の向上」を挙げている。また、「放送倫理基本要綱」の中では「民間放送の場合は、その経営基盤を支える広告の視聴者に役立つものであるように細心の注意をはらうことも、民間放送の視聴者に対する重要な責務である」とうたっている。

「安易な借り入れを助長する」として、批判の矢面に立たされてきた消費者金融のCMも、民放連が「消費者金融のCMの取り扱い関する放送基準審議会見解」というものを出して、放映の自粛を決定している。NOVA、ジオス、イーオン広告も問題ありと言わざるをえず、何らかの規制措置を講ずるべきだった。

また、民間放送局はや新聞社などは、スポンサーからの広告収入を重視するあまり、視聴率優先主義に陥ったり、企業や行政の流す情報を十分な検証なしに放送する傾向が強い。受講生の一人に「NOVAやジオス、イーオンのコマーシャルを流しているマスコミについてどう思いますか」と質問したところ「現在のマスコミには何を言っても無駄だと思う」という悲観的な答えが返ってきた。このようなマスコミに対する不信感をどのようにして払しょくしていくのだろうか。

ジーコムNOVAは、報道機関にも食い込んできている。ジーコム社は06年に北海道の中堅英会話スクールEC英会話を買収した。ほんの1年ほどの経営経験がなくても、07年12月にNOVAブランドを獲得して、10年3月には、取締役の一人をそそのかしてジオスを倒産に追い込ませて獲得した。テレビコマーシャル自体の回数は少ないが、NOVA、ジオスの広告を承認する場合は、その実態をよく確かめるべきであろう。

広告費の大半をテレビコマーシャルにかけるNOVAは、たしかに放送会社にとってこのうえないお得意さんであろう。わが世を謳歌してきた全テレビ局、新聞社、雑誌社も、不況の長期化にともなって、売上高、営業利益、営業利益、純利益、広告収入、株価がいずれも低下している。それだからといって、違法性の疑いの高い、不当表示に近いコマーシャルを垂れ流し、視聴者、受講生に迷惑をかけているとすれば、テレビ局、新聞社、雑誌社を含め報道機関の責任も問われかねないことになる。