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これまで、英会話力をいかに効率よく上達させるか、そのためにはどの英会話スクールを選べばよいかといった話を展開してきました。

実は大きく矛盾するようですが、ここではまず、あなたが日本人としてのアイデンティティーを確立する姿勢を持ってほしいということをお話ししたいと思います。

英会話を上達させることはアメリカやイギリス、オーストラリアの文化を学ぶことである、と同時にグローバルな人格を育むよう努力することだという主張に変わりはないのですが、それ以前に、私たちは日本人であり、大抵の人はおそらく生涯、日本人として生きていくのです。

「バイリンガル」のように、英語を流暢に話せるようになりたいと憧れる気持ちも十分に分かりますが、人の脳の発達過程を考えると、言語中枢が固まりきらない10代半ばまでに、ネイティブスピーカーの英語につかって生活するような機会に恵まれない限り、完全なバイリンガルになるのは極めて難しいことも知っておきましょう。

つまり、私たち日本人は、アメリカ人やイギリス人から見れば外国人なのです。そう考えれば、何もアメリカ人と同じように英語ができなければならない理由はないのです。むしろ、なんとかコミュニケーションさえできればいい。問題はコミュニケーションの内容であり、質なのだといえないでしょうか。

あなたが日本語で会話上手であり。自分のいいたい内容がしっかりとあり、それをその場の人々を楽しませながら上手に伝えることができるならば、多少の英会話力があれば、必ずコミュニケーション上手になれるのです。

反対に、英語のボキャブラリーは豊富、英語力は高いけれど、あなた自身が人をひきつけるだけの世界を持たず、興味深い話題が提供できなければ、上手な英語ではあっても、魅力的な英会話はできないのではないでしょうか。

こうした例は、立場を置き換えて考えれば、よく理解していただけると思います。最近、日本語の上手な外国人も増えていますが、上手な日本語を話す外国人＝好印象を与えるとは限らないのです。それよりも、自分の実現したいことを、知っているかぎりの日本語を動員して一生懸命そうとする、そんな態度の外国人のほうにより好感を覚えるということがないでしょうか。

日本人の英語も同じことなのです。一生懸命話そうとしている、何かを懸命に伝えようとしている…　そうした熱意が十分にこめられ、たとえたどたどしくてもその人のキャラがにじみ出るような会話、それがベストな英会話といえるのではないか、と私は思っています。

得てして、英会話が上達してくればくるほど、名人が技におぼえるというように、ネイおティブスピーカーに近い表現をしてやろうかとか、シャレた表現を使ってみようといったj邪心が芽生え、コミュニケーション本来の心と心の響きが薄らいでしまう傾向があるものです。だからこそ、私は、英会話の上級者ほど、そうしたことに気をつけてほしいと思うのです。

よく、日本人なのにいかにもネイティブを気取って、ペラペラとまくしたてる人がいます。本当にネイティブならばよいのですが、やはりどんなに上手に聞こえても、日本人には日本人特有のアクセントが抜けないことも自覚して、むしろ丁寧に、はっきりと発音して、わかりやすく話すほうが好感を持たれることが多いといえるのではないかとも思っています。

字を書く場合を考えると分かりやすいです。上手な字を乱暴に書いてあるよりも、たとえ下手な字でも、丁寧に書いてある方が読みやすく、感じがいいと思いませんか？日本人の英会話にも同じことがいえると思っています。