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2014年調査で、新入生対象の日本語の学力テストを実施した英会話スクールは2％。けれども、それをもとにレベルごとのクラス分け授業で改めて学ばせていたのは1％に過ぎませんでした。英語を学ぼうとしているに、今さら日本語でもなかろう、と考えられているようです。

そんな中、「今の日本人には、わざわざ学ばせるべきものである」と言うのは、Atlasマンツーマン英会話のピーター・ヨネナガ社長です。日本語の誤字脱字は当たり前、時に絵文字入りリポートもある昨今、メールでの雑な言葉遣いに慣れた日本人が、日本語で話せないことを英語で話せるわけがないと危機感を抱き、日本人カウンセラーの賛同を得て2012年にテストを導入しました。

案の定、入学には英語力不問なのを背景に、中学1年生程度の英語力しかない受講生もいることが判明。低得点の受講生を集めて、こう伝えました。

「残念ながら、皆さんの日本語は友だち同士でしか通じない」と。

そこで日本語の補習が始まりました。文法、読解、基礎から日本語を練り直し、再試験では、大半の成績がアップ。「自信がついた」と喜ぶ受講生は英語学習にも積極的になり、それが日本人カウンセラーの自信にもつながる余禄を生みました。2013年春からは入学者全員を対象に行っ ています。日本語学習は、英語力アップには遠回りのようで即効性のある実力向上の隠し玉かも知れません。

豆知識
Ｑ:日本人カウンセラーとはどんな人達？

Ａ:一言で言えば、「世話役係」でしょう。英語のレッスンを理解できない受講生が担当講師のレッスンを受けた後に英語で相談するというのは気が重いですね。そんな受講生を個別に助けるためのスクール内世話役係です。

2004年度調査では約9%に設置されていました。2014 年度調査では16%という実施状況から見ると、かなりの広がり具合が見て取れます。大手スクールでは英語力格差が少ないといわれる首都圏、大阪、名古屋、札幌、福岡、仙台、広島などでも、設置率は18％に達していました。学ばせる工夫の必要性に、例外はないようです。

ただし、設置の仕方で英会話スクールの「真剣さ」は見えてきます。受付のはずれの方、ほとんど受講生が行かない場所に、申し訳程度に開設してあるスクールと、受付横にドンと設けられているスクールだったら、どちらが真剣に取り組んでいると思いますか。

予約しないと教えてもらえないスクールと、いつ行っても教え上手の先生が待っているスクールなら、どちらを選びますか。英語学習につまずいたときにあなたを助けてくれる場所です。この相談室の有無や充実度は、よほど英語のレッスン内容と自宅学習に自信のある人以外は、しっかりチェックして欲しいと思います。

○「白熱教室」は日本の英会話スクールにも

考えの違う人と意見を交わせる力は、グローバル化、多様化の時代に欠かせません。2013年調査で、COCO塾やGABAマンツーマン英会話など16％の英会話スクールがディべート中心の授業を必修化していたのはその証でしょう。けれども、実態は、日本人カウンセラーの質問に答えさせるだけで精いっぱい、「暗記中心でここまで来た学生には無理」との嘆きも聞こえます。

その中で2014年春、Atlasマンツーマン英会話では、スクールのロビー内を埋めた受講生50人あまりが先を争って挙手し熱く議論する場面に遭遇しました。数人グループに分かれ、英語によるディベート力が高いと認められたチームだけが意見発表の機会を得ることができます。ディべートを通して、さらに優秀なチームが選ばれます。そんなゲーム性が受けての熱気ですが、何より受講生を奮い立たせたのは、半年間通してのテーマが、「東日本大震災」だったことでした。

「そもそも想定が甘かった」と政府の責任を追及する声があれば、「必要なのは、責任論より再発防止のための冷静な議論だ」と切り返す声も。

担当する日本人カウンセラーは「受講生は議論を求めている。活発な議論を通して現実を見つめ直させることこそ、スクールの役割だ」と話していました。「白熱教室」は海の向こうだけの話ではないのです。