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ある大企業の人事部・総務部の合同会議の場で、「英会話スクールの実力」調査の活用が始まりました。

「ブランドだけで英会話スクールを選ぶのは早計だよ」。その声に、各スクールのデータに見入っていた担当者たちは顔を上げました。単純な比較でなく、新聞で社会、経済の先行きを見通して希望校を絞る必要があると指導しました。

そして、学ばせる環境の充実度を推し量る一つの目安として、「ＰＢＬ」（課題解決型授業）と「レッスン」の人数のチェックをするようアドバイスしました。大切なのは双方向性、少人数またはマンツーマンで、密度の高い調査や討論を繰り返すことが社会性を身に着ける訓練になると考えるからです。

メモを取りながら聞いていた担当者は「NOVAのような有名なだけで選んだら危なさそう。考え直さなきゃ」と話していました。

中途解約率、それから学習・生活・就職支援での。◎○△×の実態は、スクールに足を運び、在校生や外国人講師、日本人スタッフに話を聞かなければ、わかりにくいのです。さらにいうと、体験レッスンだけでなく普通の日のスクールも見た方がいいのです。体験レッスンはお祭りのようなものです。その日だけ数時間かけてレッスンやカウンセリングが無料になるスクールにたくさんあります。

体験レッスンに駅から車を出すスクールも珍しくありません。険しい坂の上にあるスクールでは、体験レッスン受講者だけ送迎をしてくれるのです。ふだんは坂の下が地下鉄駅で、暑い日などはぶつぶつ言いながら受講生が上がっていく光景が見られます。

大手スクールは、スクールオリジナルの文房具やバッグ、Ｔシャツ、ぬいぐるみなどなどを配ります。あまりのサービスの良さに「このスクールはいいなあ」と錯覚を起こす人がいても不思議ではありません。ですから、スクールの実態を見るために、ふだんのスクールもご覧になることを勧めます。

英会話スクールの情報公表が2012年4月から始まりました。社会への説明責任を果たし、教育内容を向上させることを目的に、生徒数や講師の学位・業績など10項目を、スクールが自ら公表するよう義務づけたのです。

当初、「英会話スクールの実力」調査で初めて明るみに出た退学率や中途解約率も対象にする意向だったそうですが、スクール側に拒否されました。原案からはかなり退いた内容なのに、それでも「講師の学位といった業績は個人情報、と反発する」「受講生数は把握できない」などと後ろ向きの関係者は多く、h情報閉鎖の体質をうかがわせます。

一方で、求められるデータの公表にいち早く踏み切るスクールも増えてきました。ホームページを刷新し、現状をさらけ出すことがスクール運営としての価値を高めると考えている経営者達です。

強いられた「公開」ではなく、自発性に力点を置く「公表」の言葉を使いました。「公表」ならぱこその変革。門外不出の中途解約率を「英会話スクールの実力」調査に開示したことが、改革の起点になったと振り返るスクールもあります。

数値の多寡よりも、データの意味や施策の内容を受講生は知りたいはずでしょう。ブランドによらない英会話スクール選びを願う気持ちに、各スクールはきちんと応じて欲しいものです。マイナス情報はいつまでもマイナスのままではありません。