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先ほどの2つの勉強法は、私のボキャブラリーを増やすことにほとんど貢献してくれなかったが、自分が何を知らないかがある程度明確になった。ページによってはひとつも知っている単語がないと書いたが、それらはたとえば、動作に関する動詞であるが、他にも、化学や環境、医療や臓器に関することは知らない単語が多い。これらは、何度聞いても頭に残らない。

一方ですでに経験のあることや、普段の仕事に関係すること、自分の興味のある分野でTOEICに出てくるような単語はほとんど知っていた。

たとえば、海外に行くとして、チケットを予約するところから出入国するところまでの言葉、人と会う約束をする、契約を結ぶ、経済の話をするといった状況などである。海外旅行の英語などは、最初に覚えたのはもう20年以上も前だと思うが、頭の中にしっかり残っている。

やはり、必要なこと、興味のあることに関連したことしか頭に残らないのだ。では、逆はどうだろうか。先にあげた2つの単語教材に加えて、もうひとつ勉強に使った教材がある。それはNHKラジオの『実践ビジネス英語』のCD-ROMである。2015年の4月と5月のCDROMを買ってみて聞き流しに使おうと思ったのだが、「聞き流せ」なかった。内容が面白いため、「聞き込んで」しまったのである。

この教材では、昨今のビジネス環境にマッチした時事的なテーマが扱われている、何人かの登場人物による会話があり、重要な語句や表現の解説、よくある表現の別の表現での言い換え、といった内容が続く。扱うトピックが時事的なので、内容を知りたくなる。内容を理解したいので、わからない表現が出てくると何度も聴き直そうというモチベーションが生まれる。

ここで扱われていた内容は、逆におおよそ頭に残っている。どういう単語が出てきたかもほぼ覚えている。これは、自分の興味がある分野が扱われていて、しかも表現も含めた「文脈」とセットで記憶しているからである。また、ボキャブラリーの解説は英語でされるのだが、これがよい。英語が苦手な方にとっては、一見ハードルが高そうに思われるかもしれないが、実は最も実践的な勉強法ではないかと思う。なぜなら、ひとつのことを表現するのに、いろいろな言い方があるからだ。

たとえば、会話の中で"hoarse"という単語が出てきたことがある。発音的には"horse（馬）”と同じに聴こえるのだが、文脈的にそぐわないので、どういう意味だろうと疑問に思った。なぜこれがよいかというと、実際の会話の中では言い換えができるかどうかが重要だからである。日本語で話す時もそうなのだけれど、結局のところ単語が思い浮かばない時は、別の表現で言い換えればよいし、逆の場合も「どういう意味？」と尋ねてその説明がわかればよいのだ。

私はNHKラジオの教材を特に推薦しているわけではないし、このような教授法を取っている教材は他にもあるはずだ。言いたいのは、このような内容的にあなたの興味を惹き、文脈に即した解説をする教材が、中長期的な英語力を高めるには効果的であろう、ということである。