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そうして、かつて70％ものマーケットシェア（英会話スクール業界の生徒数）を誇っていた元業界最大手NOVAは、放置され続けた。
役員会は機能していない、財務の総理責任者は何度も代わり、ベテランと新卒にも退職が続出したため、30代を中心にした中堅社員の上に50代後半の社長がいるという企業構造になってしまった。
当然、コンプライアンスが機能するはずもなく、社長の暴走に歯止めをかけられるような社員はいなかったのだ。

NOVAの迷走を許したという意味では、銀行や経済産業省も責任逃れは決してできない。両者ともに一時は再建に向けて提携先を水面下で探すなどの動きも見られたが、ワンマン社長の独走を前に支援は最後まで消極的な形でしか進められなかった。

何より関係先が最も恐れたのが、50万人とも言われた生徒のことだった。資金繰りの破たんは時間の問題であったが、大半の生徒はすでにレッスン料を前払いしており、生徒のレッスン料の社会問題化になるリスクを背負っていたのである。

唯一の決定権を持つ社長は現実を見ようとせず、こうして関係先はついにNOVAを放置したのである。生徒の立場を考えれば、家賃の滞納より保証金や敷金が返金された段階で、財産を保全するために法的手続きを視野に入れるのが妥当ではなかったのだろうか。