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皮肉な話だが、最終的にこれらの問題を少しでも変えようとしたのが外国人講師たちだった。2007年10月、NOVA、ジオス、ベルリッツ、GABA講師らが加盟する労働組合「ゼネラルユニオン」のメンバーが経済産業省を訪問した。講師の雇用確保と受講生の被害拡大防止策を要請する一方、大阪、東京の労働基準監督署のNOVA社長を労働基準法違反で立件するよう求めた。外国人講師たちへの賃金は全講師に対し、7月から支払われていなかったのだ。

度重なるストライキの中、相次ぐ教室の自主休校を重く見た労働基準監督署も、社員のほか猿橋社長にも事情聴取を求めるだけの動きが出てきた。11月26日にはNOVAの役員らが集まって東京本部で臨時取締役会を開催した。ここで猿橋社長を解任し、そしてようやく生徒らの保護に向けて、会社更生法が申請されることになったのだ。

会社更生法の申請直後、生徒の保護に向けてスポンサーの選定に動いていた同社だが、社員や講師の退職、受講生の流出が想像以上のペースで進んでいたことから、10社との交渉を進めていた。

会社更生法申請からわずか12日後の11月6日に、学習塾や外食産業のM&Aを繰り返してきた投資会社の株式会社ジー・コミュニケーション（名古屋市）が75％のレッスン料自社負担を掲げてスポンサー企業に内定した。全国約500の教室と約5,000名の外国人講師や従業員について最大限の雇用意志を示し、その結果、13日には事業継承に関する合意書を締結した。それを受けて大阪地裁は会社更生申請手続きを棄却し、同社は破産手続きの開始決定を受けるにいたったのだ。

この時期には、会計帳簿において、使途不明な出金や原資不明の入金が数多く見られた。その後、2008年6月に社員積立金を生徒の返還金として流用したとして逮捕、7月に起訴された。

このNOVAの「ぼったくり商法」には15年以上前の1995年から危険視されていた。株価が400円台に低迷していた頃、同社の上層部スタッフを自称する者による怪文書が出回ったことがある。猿橋前社長の独裁による経営について内部告発する内容で、社会問題化するはるか以前から訴えていた人物がいたのである。