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さしすせそ」の「せ」、リスニングのトレーニング方法。英語学習の目的を問わず、すべての人にお勧めしたいのは「大量の聞き流し」を行うことです。聞き流しの効果については、賛否両論があります。先に申し上げておきますが、私は「ただ聞き流すだけで英語が身につく」とは考えていません。しかし私自身の経験を振り返ると、聞き流しは大変有用なのです。

TOEFL専門スクールに通って本格的に英語を勉強し始めた頃から、私はずっと聞き流しを実践してきました。何をいっているのかよくわからなくても、耳に音を入れられる時間はずっと英語を聞きっぱなしで、一時は寝る時さえヘッドフォンをして英語を聞いていたほどです。今でも耳をお留守にしないよう、家にいる時も外出中も、可能な限り英語のコンテンツを流しっぱなしにしています。

私は純国産の通訳者なので、帰国子女や留学経験者の通訳の方に比べればリスニング力に難があって当然なのですが、「早口な外国人の方がぼそっと冗談をいう」といったハードルの高いシーンもあまり苦になりません。これは、長年にわたって聞き流しで耳をつくってきた成果だと思っています。ナチュラルスピードで話される英語を聞き流していると、徐々にその速度に耳が慣れていくからです。

プールでしか泳いだことがない人は、海に行くとその広さや波の動きにびっくりするでしょう。海で泳ぎたいなら、少なくとも実際に海に入り、海とはどんなところなのかを身体で感じる必要があります。いつか遠くまで泳ぎたいと思うなら、水泳のトレーニングはできるだけ海でしたほうがいいですよね。リスニングも、これと同じこと。いずれ英語を使おうとすれば、必ずナチュラルスピードでコミュニケーションを取る必要に迫られます。

その場になって「こんなに速いのか」と慌てても、時すでに遅しです。「ナチュラルスピードとはどんなものか」を耳が実感できる環境をつくり、その速さが当たり前になるようにしておくことが大切なのです。