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文科省や教育委員会の「英語教育方針」というのは、長い間、高校受験のために正解か不正解を採用してきました。学生時にすべて「合否」で判定させられてきた日本人は、英語を話す時に間違いを気にする傾向があります。

外国人を前にすると、急に単語や言い回し、文法の使い方を必要以上に気にするため、間違いを恐れて言葉が出て来なくなることがあります。それと比べて、中国や南米、アフリカの人たちは間違えることを恐れず、ブロークン英語でコミュニケーションを取ろうとします。

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文法の順番や三単現のsを付けることもなく、間違いのある英語で何とかコミュニケーションを取ろうとします。彼らは、相手と会話して利益を得ることが目的と考え、手段としての英語の間違いは気にしません。

だから、英検やTOEICなどの資格検定テストは、何度も模擬試験をこなせば慣れとテクニックだけでスコアが上がります。TOEIC900点台や英検1級に合格した人は結構いますが、肝心のコミュニケーションは取れずにいます。

つまり、高得点者は英語が話せるようになったのではなく、英語の試験の受け方が上手になっただけです。実際に、英語での交渉や商談が苦手で、営業成績の悪いビジネスマンはTOEICスコアと比例していません。

どうしても実践的な英語が身に付かない理由は、英語の学び方がまちがっているからです。東大卒ほど試験だけで成り上がってきたので、アメリカやイギリスでは使われない構文ばかりを覚えています。

日本の英語教育は、とにかく構文ばかり学ばせることが多く、テストの出題パターンにもその傾向があらわれています。しかし、残念ながら入試のために学んだ構文は、日常会話の中ではほとんど使われていません。

英文学者の阿部公彦・東大教授に聞く「日本人はなぜ長い間、英語を話せないのか」

明治維新から今年で153年前を迎えますが、驚くことに日本の英語教育方針は何も変わっておらず、ほとんどの日本人は日本語を英語に訳して英語を話そうとします。しかし、そのままビジネスで使おうとすると、意味が全く通じないということが起きてしまいます。

外国人が多い職場では、部下や取引先が外国人で日本語が話せない場合も多くあります。コミュニケーションを取ろうとしても、マニュアル通りの英語しか話せないので相手からすると怒られているように感じてしまうこともあります。

まるで相手を問い詰めるような強い言い回しでは、相手の気分を害することもあり、反発を強めてきます。また、人間関係が構築できずにいるとさらに事態がこじれてしまい、結局、事業が失敗に終わるケースもあります。

さらに、下手に自分の英語力に自信を持っているビジネスマンが、海外事業で失敗することも増えています。短期留学を経験し、生半可に英語ができると思っている人が多く会社というのは、実は海外案件に適していないのかもしれません。

日本人の「集団主義」「同調圧力」には良い面も悪い面もある

そして、日本のように他人の感情に敏感になることを要求される「同調圧力」の強い社会は会話がしにくく、優秀でもサラリーマンになれない人は大勢います。とにかく、同調圧力はそこに関わる全ての人のエネルギーを吸い取る性質があります。

外国人に対して、他人の感情を読み取るために全エネルギーを使うように仕向ける会社は、英語を学ぶよりも思いやりを持てる人間になるために、日本人がいない、誰も知らない外国に行って放浪した方がいいと思います。

若い人たちは、この同調圧力について相当嫌な思いをしていると思いますが、40代以上はその気持ちを知る必要があると思います。

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